Growth Intelligence — Explainer
インテントダッシュボードとは
portx.jp に来た「あの会社、誰?」を毎朝5分で把握する、PortX 自前構築のインテリジェンスツール。仕組みと使い方を、エンジニアでなくても分かる形で説明します。
1. これで何ができるのか
portx.jp に来た訪問者を 「どの会社の誰が」 見ているか自動で識別し、
「いま動いている会社」 を毎朝の営業ターゲットとして並べてくれます。
例えば「不二製油の人が今週 /case-studies/inventory を 5回見た」のような動きが、ダッシュボードを開くだけで分かります。SalesMarker のような外部 SaaS を買わずに、PortX が自前で作ったツールです。
具体的にどんなことが見えるか
SCENARIO #1
商談中の会社が動き始めた
「中嶋さんが提案中の不二製油 — 12日間音沙汰なかったけど、今朝SCM部門の3人が立て続けに /pricing と /case-studies を見た」
→ 稟議が始まった可能性が高い。中嶋さんに即フォロー指示を飛ばせる。
SCENARIO #2
過去の接点が再関心を持った
「半年前に資料DLしてその後音沙汰がなかった味の素の田中さん。今週 portx.jp に戻ってきて、Formula のページを 3回見ている」
→ 休眠リードの再起動シグナル。掘り起こしの好機。
SCENARIO #3
新規ターゲットがこちらに気づいた
「PortX とまだ接点のないトヨタ系列の大手部品メーカー。今週 /case-studies/lead-time と /formula を見ている」
→ こちらが先に見つけて、AE が LinkedIn / Eight で SCM 部門責任者を特定 → アウトバウンド。
従来との違い
営業の最大コストは「タイミング」。「いま動いてる会社」を月100社にコールするのではなく、毎週5〜20社の温まっている会社だけにフォーカスできるのがこの仕組みの本質です。
2. 仕組み (どうやって会社を特定しているか)
大まかな流れは、訪問者が portx.jp に来てからダッシュボードに表示されるまで、3段階です。
[1] 訪問者が portx.jp を開く
│
│ ブラウザに小さなトラッキングコードが入っており、
│ ページを開くたびに「IPアドレス・閲覧URL・リファラ」を送信
│
▼
[2] PortX 自前の Cloudflare Worker が受信
│
│ ① IPアドレス → 会社名に変換 (IPinfo というサービス)
│ 例: 153.151.x.x → "Toyota Motor Corporation"
│
│ ② HubSpot Cookie で個人特定
│ 過去にPortXのフォームを送ったことがある人なら
│ Cookie で本人を特定 → 所属会社も判明
│
│ ③ 大手製造業 ICP リスト 1,847社 と突合
│ 自動車・食品・化学・電機・物流など全業種
│
│ ④ HubSpot 商談・コンタクトと突合
│ オープン Deal あり? 過去接点あり?
│
▼
[3] 5+1 バケットに分類してダッシュボードに表示
🔥 商談中 / 💎 再関心 / 👥 稟議形成 / 🆕 新規ICP / 🔎 昇格候補 / ❄ 観察
キーポイント
個人を覗き見するわけではなく、「どの会社が動いているか」だけを示すツールです。HubSpot Cookie で個人特定できるのは、過去に PortX に自分から接触してくれた人 (フォーム送信済など) に限られます。
3. 5 + 1 バケット分類
訪問企業は以下のいずれかに自動で振り分けられます。営業は 上から順 に見れば、その日アプローチすべき会社が決まります。
🔥 商談中の動き
HubSpotにOpen Dealがある会社が、最近サイトに動きを見せた
ActionDeal担当に即通知。稟議フェーズの可能性 → ROI試算シート送付
💎 再関心
過去Contact / Closed Dealある会社が、30日以上沈黙後に再訪問
Action過去担当が掘り起こし「最近どうですか」
👥 稟議形成中
同一企業から2人以上の訪問者が異なる日に来訪 (社内検討開始のサイン)
Action意思決定者を LinkedIn / Eight で特定し、提案準備開始
🆕 新規ICPマッチ
大手製造業1,847社リストに該当・CRM未登録の会社が訪問
ActionAEがSCM部門責任者を特定・HubSpotに新規Companyとして登録
🔎 昇格候補 (調査)
ICPに無いが3回以上訪問してきた会社 (隠れたターゲット候補)
Action自動企業調査を実行 → 結果を見てICP昇格判断
❄ 観察リスト
それ以外の匿名訪問 (1〜2回・不明な会社)
Action様子見。リピートしたら昇格
4. 規模感
4.5. 全機能一覧
企業特定・分析
- IP→企業特定 — IPinfo でIPアドレスから訪問元の会社名を解決
- HubSpot Cookie 個人特定 — 過去にフォーム送信した人は、ISP/モバイル経由でも個人と会社を特定
- ICP 1,847社マッチング — 大手製造業・物流企業のドメイン+キーワードリストで自動判定
- HubSpot CRM 突合 — Companies/Deals/Contacts と突合して商談状態を把握
- 6バケット自動分類 — 🔥商談中 / 💎再関心 / 👥稟議形成 / 🆕新規ICP / 🔎昇格候補 / ❄観察
- Surgeスコア — 直近7日 vs 過去30日のベースライン比で温度を計算
- 関心テーマ自動分類 — 10オファリング (在庫計画/需給連携/生産計画/受注納期/物流コスト/アフターセールス/サステナビリティ/NPI/収益管理/SCリスク)
- ページウェイト — /contact=25, /case-studies/*=8 等、ページごとの意図の強さを重み付け
- Bot/クローラー自動除外 — Googlebot等25パターン + ホスティングIP判定
ダッシュボード機能
- 期間選択 — 過去7日/30日/90日/180日/1年を切り替え
- 5軸フィルター — 関心テーマ・業種・スコア下限・HubSpotステータス・企業名検索
- 30日時系列グラフ — 訪問数/企業数/個人特定数の3系列折れ線
- 企業ドリルダウン — 行クリック→訪問タイムライン・HubSpot情報・推奨アクション
- メモ/コメント — 各企業にメモを残せる (例: 「石田テスト — 無視」)
- 会社名/担当者名の手動修正 — ISP名を正しい会社名に上書き可能
- Anonymous 高エンゲージメント訪問者 — 会社不明だが深く閲覧している匿名者を表示
- CSVエクスポート — ツールバーの「↓ CSV」ボタンでExcelにダウンロード
- System Diagnostics — Workerエラーログを画面下部で確認可能
外部連携
- Google Search Console — portx.jpに流入した検索キーワード (クリック数/CTR/順位/着地ページ) を表示
- Slack通知 — 🔥バケットに新企業が入ったら #03-intent-alerts に自動投稿 (毎時)
- Claude Code MCP連携 — VSCodeのClaude Codeチャットから「今週来た企業を分析して」等で直接データ取得・分析が可能
- HubSpot キャッシュ — D1ベースの stale-while-revalidate キャッシュ (1時間TTL) でAPI制限を回避
データ品質・運用
- UTMパラメータ除外 — utm_source等のマーケティングパラメータを自動除去して集計精度向上
- 重複排除 — 同一セッション+パスの5秒以内の二重送信を自動除去
- 滞在時間トラッキング — ページ離脱時にdwellビーコンを送信、読了時間をスコアに反映可能
- 昇格候補キュー — ICP未登録でも3回以上訪問の企業をD1のescalationsテーブルに自動登録
- Cron Worker — 毎時: HubSpot DealStage更新 + Slack通知 / 毎日03:00 JST: 古いデータ削除 (365日保持)
- 死亡ドメインブラックリスト — ICP 1,847社のうち308個の存在しないドメインをhostnameマッチから除外
大手製造業の主要企業は ほぼ全てカバーしています。トヨタ・ホンダ・日産系列の自動車・部品メーカー、味の素・キッコーマン・サントリー・キリン・不二製油などの食品大手、三菱ケミカル・住友化学・信越化学・富士フイルムなどの化学大手、日本製鉄・JFE・AGC・TOTO・LIXIL などの素材・住設、パナソニック・ソニー・キーエンス・村田などの電機、ファナック・コマツ・クボタ・三菱重工・ダイキンなどの機械、武田・アステラス・第一三共・テルモなどの製薬、ヤマト・SG・NX・三井倉庫などの物流。
5. 使い方 (毎朝5分の運用)
- インテントダッシュボード を開く (毎朝1回)
- 左側のタブ「🔥 商談中」を確認 → 該当があれば Deal 担当に Slack で共有
- 「💎 再関心」を確認 → 過去担当に共有して掘り起こしを依頼
- 「👥 稟議形成中」と「🆕 新規ICP」を確認 → AE 担当を割り当て
- 気になる企業の行をクリック → 右からドロワーが出て、訪問の時系列・閲覧ページ・特定済みコンタクト情報が見える
ダッシュボードには 1 分ごとに自動更新がかかるので、開きっぱなしにしておけばリアルタイムで動きが見えます。
6. プライバシーとセキュリティ
取得していないもの
- Cookie の新規発行はしていません (HubSpot が既に発行している Cookie を読むだけ)
- 訪問者個人を勝手に追跡することはできません (HubSpot に既に登録されている人だけ)
- キーボード入力・マウス位置・スクリーンショット等は取得していません
- portx.jp 以外のサイトでの訪問者の動きは見えません (自社サイト訪問のみ)
取得しているもの
- IPアドレス (組織名解決用・個人特定用ではない)
- 閲覧したURL・リファラ・タイムスタンプ
- HubSpot tracking cookie (既に存在するもの)
- 匿名セッションID (タブを閉じれば消えるブラウザ側のローカルID)
アクセス制限
- このダッシュボード自体は @portx.team のメールアドレスを持つPortX社員のみ アクセス可能 (Cloudflare Access による認証)
- HubSpot 連携は読み取り専用 (HubSpot 側に書き戻しはしていない)
7. FAQ
Q. 何でこれを自分たちで作ったの? SalesMarker とかじゃダメだったの?
SalesMarker のような Intent SaaS は月数十万円かかります。一方、必要な機能 (IP→会社解決・HubSpot突合・温度スコア) は、Cloudflare Worker と IPinfo の組み合わせで 月額追加コスト ほぼ0円 で実装できます。さらに自前なら、Formula プラットフォームや A00 戦略との連携 (例: 訪問テーマから Formula プロトタイプを自動生成) を将来的に組み込めます。AI時代に外部 SaaS の「画面・レポート層」は剥がれていく一方、「独自データ」と「成果物リスト」は残る、という戦略判断に基づいています。
Q. ISP判定で会社が分からない訪問者はどうなるの?
IPinfo が NTT DOCOMO や KDDI などの ISP と判定した訪問者は「対象外」扱いで、デフォルトのダッシュボード集計から除外されます。ただし、その人が 過去に PortX のフォームを送信したことがある人 (HubSpot Cookie 持ち) なら、ISP 経由でも個人と所属会社が特定できます。これが「個人特定済 (Cookie)」KPIの数字です。
Q. 「昇格候補」って何? どう使うの?
ICPリスト 1,847社に入っていないけど、3回以上 portx.jp を訪問している会社のことです。「ICPに入っていなくても、しつこく見に来ているということは何か関心がある会社」という前提で、自動的に企業調査キューに入ります。将来的にはWeb検索とLLMで業種を自動判定して「ICPに昇格すべきか」を判断します (この自動調査機能は今後実装予定)。
Q. 訪問データは何日間保存されるの?
現状は無期限保存です (Cloudflare D1 の無料枠 5GB 内で運用)。将来的に1〜2年で削除する自動ジョブを入れる可能性があります。
Q. 自分が portx.jp を見ても、そのうち1件としてカウントされるの?
はい、PortX 社員の訪問もそのままカウントされます。社員のオフィスIPやhubspotutk Cookieは「対象外」フィルタに自動では入らないため、ダッシュボードに自分が表示されることがあります。気になる場合は除外リストに追加できます (要相談)。
Q. 営業以外も見ていいの?
はい。@portx.team でログインできれば誰でも閲覧可能です。マーケ担当は「どのページが見られているか」、開発担当は「Formula のページがどう見られているか」、CEO は「いま動いている会社の温度感」など、目的に応じて活用できます。
Q. 仕組みのコードはどこで見られるの?
Q. 企業名が間違っている / ISP名が表示されるんだけど?
IPinfo は訪問者のIPアドレスからISP名を返すことがあります (例: 「ARTERIA Networks Corporation」)。企業行をクリックして「会社名・担当者の修正」セクションで正しい会社名に上書きできます。上書きした名前は以降の訪問にも自動適用されます。
Q. Search Console のデータはリアルタイム?
いいえ。Google Search Console のデータは約2日遅れで反映されます。また、ダッシュボード側では6時間キャッシュしています。「今日の検索キーワード」ではなく「直近28日のトレンド」として見てください。
Q. Claude Code からデータを分析できる?
はい。MCP (Model Context Protocol) でClaude Codeと接続済みです。VSCodeのClaude Codeチャットで「今週来た企業を教えて」「不二製油の訪問履歴を分析して」等と聞くだけで、リアルタイムにAPIを叩いてデータを取得・分析します。SQLも直接投げられます。
Q. データのCSVダウンロードはできる?
はい。ダッシュボードのフィルターバー右側にある「↓ CSV」ボタンで、現在選択中の期間のデータをCSV形式でダウンロードできます。Excelで開いて営業ミーティングで共有する等に使えます。
Q. 何か気づいたことや改善要望があったら?
Slack で石田 (CEO) または開発チームにご連絡ください。バケット分類のロジック、ICPリストの追加、表示項目、温度スコア計算、Slack通知連携などはすべて拡張可能です。